このクソ親父(二部)
このクソ親父(一部)から つづき
「ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・・・・。」
「ポワァーーーーーーーーーーーーン。」
「ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・・・・。」
また電車か・・・・Y氏は、荷物の整理をしながら、ため息をつく。
帰りに調達してきた耳栓をはめると、生活に必要な最低限の荷物だけを取り出すことにした。
そして、あとのダンボールは、部屋の隅に追いやってしまった。
テレビをつける・・・・あぁ耳栓をはずさないと聴こえない・・・・そして、電車が通る・・・・
「ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・・・・。」
・・・・テレビの音が・・・・聴こえねぇしゃぁぁ~~~~~~~っ!・・・・。
深夜1時を回る頃、ようやく電車の音も、静かになった。
「ふぅ~っ、ようやく終電も通り過ぎたか・・・・・・・・。」
Y氏は、疲労とイライラがピークに達していたが、グッと我慢をして耳栓を外すと
電気を消して、布団に入った。天井が変わるとなかなか寝つきが悪いものである。
ようやくウトウトとしかけた頃、ふと何か、下のほうから、物音がする・・・・。
「ドン、ガシャン、バシン・・・・・・・。」
「いいやぁ~っ、やめてぇ~、おネガイしますっ~!!!!。」
「ガン、ドン、バサッ○×▼!!◎○×▼!!◎!!○×▼◎!!!、ギャーッ!!!。」
「痛い!痛い!、いいやぁ~っ!。カンベンしてヨォー!!○×▼!!○×▼!!」
~~~~おいおい、今度は何だよ、こっちが勘弁してくれよぉぉ~~~~っ!~~~~~
明らかにそれは、下の部屋から聞こえてきたのだ。
~~~~~~~~ドン・ピロピロピロピロォ~~~~~~~ッ!
真夜中にその悲鳴と喧騒は、はっきりとY氏の耳に聞こえてきたのだ。
Y氏は越してきて、精神的にも全く余裕がなかった為、大家さんへ少し顔を出しただけで
下の住人の事に関しては、まったく知らなかったのだ。
~~~~もしかして、夫婦喧嘩でもしているのかな?~~~~
しばらくすると静かになったため、Y氏もいつの間にか眠りについていた。
そして、夜が明ける頃・・・
「ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・・・・。」
「ポワァーーーーーーーーーーーーン。」
Y氏は、ハッと時計を見る。まだ朝5時頃だったが、それは始発電車が、一番の朝を告げる走行だった。
~~~~あぁぁこれじゃ、体がもたないかも?~~~~
Y氏は、そんなことを考えながら、疲れと寝不足を引きずったまま出勤したのだが・・・・
案の定、静かなパソコンスクールの授業では、恐怖の睡魔が襲ってくるのだった。
睡魔と闘いながらも、何とかその日の仕事を終えると、あのアパートへ帰ってきた。
今日こそは耳栓をしたままで、早めに寝よう!
そう思いながらアパートの前までくると・・・。
階段のそばに、小学生ぐらいの男の子が二人と3~4歳ぐらいの女の子が一人、3人で遊んでいる。
~~~~3人の兄妹だろうか?~~~~
子供好きのY氏は、「こんにちはぁ」と挨拶をしてニッコリと笑ってみせた。
すると子供達は、無言のまま「キッ」とこちらを振り向くと
「帰ってくんなぁ~!このクソ親父!・・・。」
そう叫ぶと
一番大きな男の子が、小石を握り締めながら、明らかに敵意むき出しの目で
Y氏のほうをじっと睨みつけたのだ!
Y氏は、一瞬たじろぎ、何が起こっているのか理解できないまま、周りを見渡した。
~~~~えぇぇっ、オレの事?!、なんかしたぁ???~~~~
そして握り締めた、砂交じりの小石をY氏のほうへ投げつけると3人の子供達は、その場を逃げるように
走り去っていったのだった。
Y氏は、狐につままれたような顔をしたまま、しばらくその場(階段の下)を動くことができなかった。
このクソ親父(三部)へ つづく